【仏教ブログ】「報恩講」の「恩」は鎌倉武士の「ご恩と奉公」と何が違うのか。

光顔寺明照廟堂(光顔寺 納骨堂)のスタッフ、仏教アドバイザーの宮田秀成です。

11月は、稲刈りも終わり各地で報恩講法要が務められます。光顔寺も3年ぶりに、10月20日、21日と報恩講が勤められました。

報恩講とは、浄土真宗を開かれた親鸞聖人の恩徳に報謝する法要です。親鸞聖人がご往生されたのは、旧暦・弘長2年11月28日(新暦・1263年1月16日)なので、その祥月命日に勤修されることから御正忌報恩講と言われます。

文字通り「恩」に報いるのが報恩講ですが、それだけの恩を私が既に受けているということです。

「ご恩」と聞くと、今年の大河ドラマ「鎌倉殿と13人」の「ご恩と奉公」を想像する人もあると思います。鎌倉時代の承久の乱で、後鳥羽上皇率いる軍に対して、鎌倉武士団が団結するために北条政子が御家人に言ったとされるのが以下の言葉です。

「頼朝さまのおかげであなたたち武士の地位は上がり、土地も増えました。そのご恩は山よりも高く海よりも深い。今こそそのご恩に応えるときです。」

鎌倉幕府の御家人は、鎌倉殿から所領を与えられ、武士そのものの社会的地位も向上しました。そのように自分が受けた恩は「山よりも高く海よりも深い」と感じていました。

鎌倉武士が受けた「ご恩」は、目に見える分かりやすいものですが、私たちが親鸞聖人から受けた「恩」とは何でしょうか?それは、「浄土真宗を開いて下さった」というご恩です。ここでいう「浄土真宗」というのは、「宗派の名前」ではなく、「阿弥陀仏の本願」のことです。

この阿弥陀仏の本願は、老少善悪の人をえらばずに、信心一つで救うということを開いて明らかにしてくださったのが親鸞聖人です。その教えは今日浄土真宗のみ教えとして伝えられています。

ですから、この浄土真宗のみ教えにであい、自分自身のこととして受け取られた人は、親鸞聖人から大変なご恩を受けているこということになります。

しかし、実際に「教え」として聞くだけでなく、信心を阿弥陀仏から賜る(信心獲得)のが、本当の恩徳を頂いたということであり、その上での報謝であると蓮如上人は御文章で教えられています。そのことについては、次回の記事で紹介します。

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宮田秀成/光顔寺・仏教アドバイザー(真宗教義、脱カルト担当)

Profile
1993年に宗教法人浄土真宗親鸞会に入信、10年間親鸞会講師として活動。
脱会後、親鸞会の教えの誤りに気づき、本願寺派の教えを中心に学びなおす。
現在、浄土真宗本願寺派光顔寺(富山)信徒。
   光顔寺スタッフ。仏教アドバイザー。

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