【仏教ブログ】報恩講について・蓮如上人のお言葉
光顔寺 納骨堂のスタッフ、仏教アドバイザーの宮田秀成です。
9月から1月にかけて浄土真宗では、報恩講の時期です。
報恩講とは、親鸞聖人のご命日を縁として、お寺や各家庭で行われる法要です。浄土真宗の盛んな地域では、お寺だけでなく各家庭でも行われています。
ご命日をご縁とするという点では、一般にいう年忌の法事と同じです。しかし、一般の法事は今は亡き人を偲ぶ法要のように思われていますが、報恩講はそれだけではありません。もちろん親鸞聖人のお徳を偲ぶのですが、それだけの行事ではありません。
報恩講料理を基にした「うるしの里御膳」 出典:農林水産省Webサイト
蓮如上人が書かれた御文章三帖目九通は、親鸞聖人・御命日章とよばれています。その名の通り報恩講について書かれたものです。
そこで、蓮如上人はただ報恩講に足を運べばよいのではないと大変厳しく仰っています。
そもそも、今日は鸞聖人(親鸞)の御命日として、かならず報恩謝徳のこころざしをはこばざる人、これすくなし。(略)今日にかぎりてあながちに出仕をいたし、この講中の座敷をふさぐをもつて真宗の肝要とばかりおもはん人は、いかでかわが聖人の御意にはあひかなひがたし。(御文章三帖目九通)
日ごろ中々お寺に足を運ばない人でも、報恩講には参詣をしようという人は当時も多かったと思われます。しかし、報恩講に来て、人が多く集まって本堂が満堂になる事が真宗で最も大事なことだと思っている人は、親鸞聖人のお心に叶っていないのだと仰います。
「報恩謝徳」が目的の報恩講ですから、親鸞聖人が喜ばれる事をするのが一番です。その意味では、ただ人が多く集まればよいのではないのだといわれています。では何をする事が「報恩謝徳」になるのでしょうか?
蓮如上人は御文章の続きにこのように書かれています。
すみやかに本願真実の他力信心をとりて、わが身の今度の報土往生を決定せしめんこそ、まことに聖人報恩謝徳の懇志にあひかなふべけれ。また自身の極楽往生の一途も治定しをはりぬべき道理なり。(同)
他力の信心の身となって、自分自身が浄土往生する身と定まる事こそが、親鸞聖人への報恩謝徳の目的に適うものであると言われています。またそのままが、自分の極楽往生が定まると言う事なのです。 日ごろご縁のない方こそ、お寺でもご家庭でも報恩講で他力の信心を獲る身となりましょう。
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宮田秀成/光顔寺・仏教アドバイザー(真宗教義、脱カルト担当)
Profile
1993年に宗教法人浄土真宗親鸞会に入信、10年間親鸞会講師として活動。
脱会後、親鸞会の教えの誤りに気づき、本願寺派の教えを中心に学びなおす。
現在、浄土真宗本願寺派光顔寺(富山)信徒。
光顔寺スタッフ。仏教アドバイザー。