【仏教ブログ】いつもと違うお盆になる人へ
光顔寺明照廟堂(光顔寺 納骨堂)のスタッフ、仏教アドバイザーの宮田秀成です。
8月になると、お盆に帰省をして墓参りや、法要を務める人も多いと思います。ところが、今年はこのコロナ禍で特に東京や大阪の人を中心に帰省を取りやめようと人も多いと聞きます。
そこで、お盆とは一体なんなのかについて改めて考えて見たいと思います。
お盆の行事の起源となったのは、「孟蘭盆経」と言われています。このお経には何が説かれているのかというと、お釈迦さまのお弟子である目連尊者がお釈迦さまに相談に来ました。
目連尊者は、釈尊十大弟子の一人であり神通力第一といわれる人でした。その目連尊者は、自らの神通力をもって亡き母が今どこで何をしているのかを探して見たところ、母親は餓鬼道で苦しんでいることが分かりました。
餓鬼道とは、いつも飢えて食べたいものが食べられない世界をいいます。その餓鬼道で苦しんでいる母親を知り、目連尊者は何とか母親に食べ物を与えようとします。しかし、母親が食べ物を口に運ぼうとすると、食べ物が炎となって食べることができません。
そこで目連尊者は、お釈迦様に相談をすることになったのです。亡き母の現状を伝えて、どうしたら餓鬼道から救うことができるのでしょうかと、目連尊者はお釈迦さまに訊ねました。
それに対してお釈迦さまは、「それはお前一人の力ではどうすることもできない。多くの僧侶の力を借りるのです。そこで、今の安居の終わった日に、僧に食事と休む道具を供養しなさい。そうすれば母は今の苦しみから逃れることが出来る。母だけでなく、父も、七世に渡る父母・六親眷属も苦しみから逃れることができる。」と教えられました。
これが起源となって孟蘭盆会が行われるようになったと言われています。今日の日本で行われるお盆の法要もこれが起源と言われます。亡き母が餓鬼道に堕ちるのは、子供を育てるのにそれだけいろいろな苦労もあり、餓鬼道に堕ちるような罪を作らねばならないとみることも出来ます。亡き父母の喜ぶことは私が本当の幸せになることではないでしょうか。
そこで、浄土真宗では先祖を救うという意味での供養をすることはないので、亡き父母や先祖をご縁として仏法を聞く集まりとして孟蘭盆会(場所によっては歓喜会)が開かれます。
帰省をして、墓参りなどをするのもお盆の法要ですが、それができない人は近くの法座に参加されるのもお盆の法要になりますのでお勧めします。
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宮田秀成/光顔寺・仏教アドバイザー(真宗教義、脱カルト担当)
Profile
1993年に宗教法人浄土真宗親鸞会に入信、10年間親鸞会講師として活動。
脱会後、親鸞会の教えの誤りに気づき、本願寺派の教えを中心に学びなおす。
現在、浄土真宗本願寺派光顔寺信徒。
光顔寺スタッフ。仏教アドバイザー。