【仏教ブログ】「恵方巻き」から「恵方」を考える
光顔寺明照廟堂(光顔寺 納骨堂)のスタッフ、仏教アドバイザーの宮田秀成です。
いつのころからか、「恵方巻き」が節分時期になるとあちこちで売られるようになりました。1998年にセブンイレブンが全国販売するようになったのがきっかけで、全国に広まったといわれています。
「恵方」というのは、陰陽道で干支にもとづいて良いとされた方角のことをいいます。その恵方に向いて巻きずしを食べると縁儀がよいとされています。
ただ、浄土真宗ではそのような「恵方」とか「日の善し悪し」というものをいいません。
蓮如上人の御文章1帖目9通には、このように書かれています。
仏法を修行せんひとは、念仏者にかぎらず、物さのみいむべからずと、あきらかに諸経の文にもあまたみえたり。まづ『涅槃経』にのたまはく、「如来法中無有選択吉日良辰」といへり。この文のこころは、「如来の法のなかに吉日良辰をえらぶことなし」となり。
涅槃経というお経には「仏教では、日の善し悪しを選ぶということはない」と説かれています。日の善し悪しや方角が、その人に幸福や災いをもたらすということはありません。
そうしますと、仏教では方角のことについては全くいわないのかというと、浄土真宗では「西」は特別な意味をもつ方角です。
それは、阿弥陀経に阿弥陀仏の浄土は「西方」にあると説かれているからです。「西」というのは太陽が沈む方角ですから、すべてのものが帰すべきところという意味で、浄土は西にあると説かれています。そこから、お仏壇は西の方角にご安置されます。
毎年変わる「恵方」ではなく、「西方」を向いてお浄土に向かって生きていくのがよいのではないかと思います。
この命がどこへ向かって生きているのかを、いつも改めて知らせていただくご縁がお仏壇に向かって手を合わせることです。年に一度の「恵方」を気にするより、いつでも「西方」に向かって生きましょう。
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宮田秀成/光顔寺・仏教アドバイザー(真宗教義、脱カルト担当)
Profile
1993年に宗教法人浄土真宗親鸞会に入信、10年間親鸞会講師として活動。
脱会後、親鸞会の教えの誤りに気づき、本願寺派の教えを中心に学びなおす。
現在、浄土真宗本願寺派光顔寺(富山)信徒。
光顔寺スタッフ。仏教アドバイザー。