【仏教ブログ】中秋の名月にちなんで、月と仏教の話2

前回に続き、中秋の名月にちなんで、月に関する仏教の話を紹介します。

闇を照らす月の光を、仏の智慧の働きを喩えていわれたものに「月愛三昧(がつあいざんまい)」というのがあります。

涅槃経に

世尊大悲導師、阿闍世王のために月愛三昧に入れり

と説かれています。

「月愛三昧」の言葉の意味を、浄土真宗辞典から引用します。

釈尊が阿闍世の身心の苦悩を除くために入った三昧の名。きよらかな月の光が青蓮華を開花させ、また夜道を行く人を照らし歓喜を与えるように、仏がこの三昧に入れば衆生の煩悩を除いて善心を増長させ、迷いの世界にあって、さとりの道を求める行者に歓喜を与えるという。

お釈迦さまの時代に、阿闍世王という王様がいました。この阿闍世王は、父の王を殺害し、母親も殺害未遂のところまでした人間です。そうして王位についたのですが、しばらくして父親を手にかけた罪悪感から、身心に大きな苦しみを受けることになります。

その苦しみを除く為に、お釈迦さまは阿闍世王のために月愛三昧に入られました。それが契機となり、阿闍世王はお釈迦さまに帰依して仏教を聞き求め守護するようになりました。

太陽の光も、月の光りも同じ光ではありますが、その性質は大きく違います。太陽の光がなければ、動物も植物も生きていくことは出来ません。しかし、太陽の光は強すぎて直視することはできません。また、今年も大変な猛暑となりましたが、太陽の光が強すぎると、人の命も奪うことがあります。

それに対して月の光は、月見という言葉もあるように月の光を眺めて楽しむことが出来ます。また、月の光は闇夜を照らし、あらゆるものを優しく照らして奇麗に見せてくれます。

いろいろな迷い苦しみにある人も平等に包むように照らして下さるのが月の光です。闇の中を照らして私に道を示して下さいます。迷いの中にあっても、そこから出て離れるように呼びかけて下さっていると月の光を見て見ませんか?

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宮田秀成/光顔寺・仏教アドバイザー(真宗教義、脱カルト担当)

Profile
1993年に宗教法人浄土真宗親鸞会に入信、10年間親鸞会講師として活動。
脱会後、親鸞会の教えの誤りに気づき、本願寺派の教えを中心に学びなおす。
現在、浄土真宗本願寺派光顔寺信徒。
   光顔寺スタッフ。仏教アドバイザー。

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