【仏教ブログ】アンパンマンと阿弥陀仏(1)
光顔寺明照廟堂/水月精舎(光顔寺 納骨堂)のスタッフ、仏教アドバイザーの宮田秀成です。
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」が、2025年09月26日で最終回を迎えました。
アンパンマンの作者である、やなせたかし先生と暢さん夫婦を描いた作品です。
自ら戦争に参加し、また終戦を迎えて価値観が大きく変化した社会を目の当たりにして、逆転しない正義とは何かを考えた時に、生み出されたキャラクターがアンパンマンでした。
お腹を空かせて苦しんでいる人に、自らの顔(あんパン)を差し出すことで空腹から救うことは、敵も味方もなく、時代が変わっても変わらない正義なのだということです。そのあたりは、同じマントをまとって空を飛ぶヒーローであるスーパーマンと異なります。スーパーマンは、自らの「正義」のために「悪」と戦い、「悪」を倒すヒーローです.
私は、今回朝ドラの「あんぱん」を見て、このアンパンマンは浄土真宗の阿弥陀仏とよく似ているところがあると思いました。
阿弥陀仏は、スーパーマンと違い正義のために悪と戦う仏様ではありません。アンパンマンのように、苦しむ人を助けるための仏様です。それも苦しんでいる人という以外に、その人の年齢や性別や善悪で差別をされない仏様です。
そして、アンパンマンが自らの頭を与えるように、自らの功徳を南無阿弥陀仏となって与えて救う仏様が阿弥陀仏です。
そのことについて、親鸞聖人は正像末和讃にこのように書かれています.
(38)
如来の作願をたづぬれば
苦悩の有情をすてずして
回向を首としたまひて
大悲心をば成就せり(正像末和讃)
【現代語訳】
阿弥陀如来の誓願を発されたいわれを尋ねますと、迷いに苦悩する人間を見捨てないで、如来は長い間の修行の功徳を私達に振り向けることを慈悲の第一として、大悲の誓願を成就してくださったのです。
アンパンマンのあんパンは、口から食べる事で体の中に入って栄養となります。南無阿弥陀仏は、私の口から出てくださって耳へと入って私に救いのお働きを聞かせて下さいます。
どちらも与えて助けるという点では共通しています。ただ、阿弥陀仏は私一人を助ける仏様というところは有り難いことと思います。

※上の画像は生成AIが考えた「左半分は、正義のために悪と戦う仏。右半分は、苦しむ人々を救済する阿弥陀仏。」です。
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Profile
1993年に宗教法人浄土真宗親鸞会に入信、10年間親鸞会講師として活動。
脱会後、親鸞会の教えの誤りに気づき、本願寺派の教えを中心に学びなおす。
現在、浄土真宗本願寺派光顔寺信徒。
光顔寺スタッフ。仏教アドバイザー。