仏縁を、地域社会の未来へ ~永代経・祠堂経のご案内~

故人さまが遺してくださった仏縁を、この地域社会の未来へと繋いでいく。それが「永代経」「祠堂経」です。故人への感謝の思いを、み教えとお寺を永代にわたって支える公共的なお心遣いへと昇華させる、尊い仏事の意味をお伝えします。

中陰、そして百か日法要を終え、故人さまを偲ぶ日々が続く中で、私たちの心には、故人への感謝と共に、ある自然な思いが芽生えることがあります。

「故人が大切にされていたお寺が、そしてこの尊いみ教えが、自分の子や孫だけでなく、この地域に生きるまだ見ぬ未来の世代の人々にとっても、心の拠り所として永く永く続いていってほしい」 「故人が結んでくださったこの仏法とのご縁を、私たち家族だけのものとして終わらせるのではなく、未来の誰かの安心へと繋げていきたい」

このような、故人への感謝の思いを、時間と空間を超えた、より開かれた公共的な願いへと昇華させるための仏事が、浄土真宗における「永代経(えいたいきょう)・祠堂経(しどうきょう)法要」です。

これまでご説明してきた年忌法要などが、主に故人のご命日をご縁として「過去から今」を見つめ、私たち自身の救いを確認する仏事であったとすれば、永代経・祠堂経は、「今から未来」を見つめ、このみ教えを地域社会の未来へと相続していくための、私たち自身の積極的な関わりを示す仏事と言えるでしょう。

もちろん、これも故人の成仏を願う「追善供養」ではありません。

浄土真宗における「永代経」とは、永代にわたってお経が読まれ、仏法が伝えられていくための場所(お寺)を、皆様と共に護持し、支えていくというお心遣いの表明です。また「祠堂経」も、故人のご命日などをご縁として、永代経と同じ趣旨でお勤めされる、いずれも未来を見据えた尊い仏事です。

それは、故人への感謝の思いが、単なる個人的な追慕に終わらず、「み教えの灯を、未来の地域社会へ」と受け継いでいく、普遍的な願いへと開かれていくプロセスです。この営みを通して、私たちは単なる「消費者」として法要に参加するのではなく、地域の精神文化を未来へ繋ぐ担い手の一人とならせていただくのです。

この章では、永代経・祠堂経という、故人とのご縁から始まる、未来へ向けた仏事の意義と、その具体的な内容について詳しく解説してまいります。

それでは、まず「【永代経とは】故人への感謝を、地域社会の未来を支える力へ」のページで、永代経のより深い意味について、共に学んでまいりましょう。