【おかみそり いつ】帰敬式を受けるタイミングと手続きについて(光顔寺)

光顔寺で帰敬式を受けたいとお考えの方へ。いつ、どのような手続きで受けられるのか、そしてその後の生活にどのような心の変化があるのかをご案内します。

前の記事「【帰敬式とは】阿弥陀さまの導きを受け、仏弟子として生きることを心に定める儀式」では、帰敬式(おかみそり)が、阿弥陀さまの教えを人生の確かな依り所とし、仏弟子として新たな一歩を踏み出すための、大変尊い儀式であることをお伝えいたしました。そして、この儀式を通して「法名(ほうみょう)」という、お浄土に往き生まれて仏さまとなった後も呼ばれ続ける大切なお名前をいただくこともご紹介しました。故人さまが仏弟子として阿弥陀さまのお慈悲に抱かれることを願うご遺族のお気持ち、そしてまた、生きている私たちがこの儀式にご縁をいただくことの大きな意義についても触れさせていただきました。

では、実際に「帰敬式を受けたい」「故人のために帰敬式をお願いしたい」とお考えになった時、それは「いつ」、そして「どのような手続きで」受けることができるのでしょうか。また、帰敬式を受けた後の生活や心境には、どのような変化や深まりがもたらされるのでしょうか。

このページでは、そうした皆様の具体的な疑問にお答えするため、光顔寺で帰敬式をお受けになる際のタイミングや手続き、そして仏弟子として新たな歩みを始められた方々が、その後の人生でどのような心の変化を感じておられるのかについて、できる限りわかりやすく、そして皆様のお気持ちに寄り添いながらご案内させていただきます。

帰敬式(おかみそり)を受けるタイミング – あなたの「思い」が最も大切です

帰敬式は、阿弥陀さまの教えに帰依し、仏弟子として生きていくことを意思表明する儀式です。そのタイミングについて、浄土真宗本願寺派では特に厳格な決まりがあるわけではありません。最も大切なのは、ご自身が「阿弥陀さまの教えを心の拠り所としたい」「仏弟子として、お念仏の道を歩みたい」と心から願う、そのお気持ちです。年齢や社会的立場に関わらず、どなたでもその思いが芽生えた時が、尊いご縁の始まりと言えるでしょう。

  1. 生前にご自身で受けられる場合 – 思い立った時が、尊いご縁の始まり
    • 人生の様々な節目に: 例えば、成人を迎え社会への一歩を踏み出す時、ご結婚やお子様の誕生といった新しい家族の門出、あるいは還暦や古希といったご長寿のお祝いなど、人生の大きな節目は、これまでの歩みを振り返り、これからの生き方を見つめ直す良い機会です。そのような時に、帰敬式をお受けになることで、新たな決意と共に人生の次なるステージへ進まれる方がいらっしゃいます。
    • 若い世代、現役でご活躍の世代の方々へ: 未成年の方であっても、ご自身の意志で仏法に触れたいと願われる場合や、日々社会の中心でご活躍され、多忙な毎日を送る中で、ふと立ち止まり、ご自身の心の拠り所や人生の確かな指針を求められる時も、帰敬式は大きな意味を持ちます。情報が溢れ、価値観が多様化する現代社会において、阿弥陀さまの変わることのない広大なお慈悲の教えは、どのような世代の方にとっても、生きる上での力強い支えとなるでしょう。
    • 仏法との出会いを機に: 光顔寺での法要や行事にご参加いただいたり、僧侶の法話をお聞きになったりする中で、阿弥陀さまの教えの温かさや深さに触れ、「もっと深く学びたい」「この教えと共に生きていきたい」と感じられた時も、素晴らしいタイミングです。ここ光顔寺のございます富山県の魚津市、富山市、小矢部市にお住まいの方々はもとより、例えば滑川市など近隣の市町村、あるいは県外にお住まいの方でも、そのお気持ちさえあれば、いつでもご相談ください。
    • 心の平安を求める時: 日々の生活の中で、悩みや苦しみ、あるいは漠然とした不安を感じ、確かな心の支えを求めておられる時。帰敬式は、そのような時に、阿弥陀さまの限りないお慈悲に包まれ、揺るぎない安心をいただく大きなご縁となります。
    • 受式できる場所と機会:
      • ご本山(京都・西本願寺): 浄土真宗本願寺派のご本山では、原則として毎日帰敬式が執り行われており、最も多くの方が受式される場所です。事前にご確認の上、お参りいただければ、どなたでもお受けになることができます。
      • 築地本願寺(東京): ご本山に次いで、比較的頻繁に帰敬式の機会が設けられています。
      • 各地の別院・直属寺院: 全国の主要都市にある別院や一部の直属寺院でも、定期的に、あるいは大きな法要や行事に合わせて帰敬式が執り行われることがあります。これらの場合、ご門主さま、またはその代理として「お手代(おてがわり)」と呼ばれる本山から正式に派遣された僧侶によって執り行われます。
      • 光顔寺などの一般寺院を会場とする場合: 私たち光顔寺のような一般の寺院では、葬儀に際して特例として住職が帰敬式を執り行うことがございます。また、それ以外で生前に帰敬式をお受けになりたいという場合、光顔寺が会場となり、ご本山からご門主さま、またはお手代(おてがわり)さまをお迎えして帰敬式が執り行われる特別な機会もございます。こうした機会については、事前にお寺へお問い合わせいただくか、ホームページ等でご確認ください。
  2. 故人のためにご葬儀で受けられる場合 – 遺された方の願いを込めて
    • 前の記事でも触れました通り、本来は生前にご自身の意志でお受けになるのが最も望ましい帰敬式ですが、様々なご事情で、故人さまが生前にそのご縁に恵まれなかった場合もございます。
    • そのような時、ご遺族が「故人さまが阿弥陀さまの仏弟子として、その光明に摂め取られお浄土で仏となり、そこで安らかに憩われると共に、今度は私たちを温かく見守り、仏法へと導いてくださる尊い存在となられたことを、この儀式を通して改めて心に深く受け止め、故人への感謝と敬愛の念を表したい」と心から願われるお気持ちは、大変尊いものです。浄土真宗本願寺派では、その切なるお気持ちに応え、ご葬儀の中(多くは出棺勤行の前など)で、故人さまのために特例として、お手次のお寺の住職が帰敬式を執り行うことが認められています。
    • これにより、故人さまは法名をいただき、晴れて阿弥陀さまの仏弟子として、その光明に摂め取られ、お浄土へ往き生まれることを、ご遺族と共に確認させていただくのです。

光顔寺での帰敬式の手続き – どうすれば受けられるの?

光顔寺で帰敬式をお受けになりたいとお考えの方は、どうぞ以下の手順でご相談ください。難しいことは何もございません。

  1. まずは光顔寺にご相談ください
    • 光顔寺(魚津、富山、小矢部の共通代表電話番号:0766-73-8756)にてご連絡いただくか、当ホームページのお問い合わせフォームなどをご利用ください。
    • 「帰敬式を受けたいのですが」あるいは「故人のために帰敬式をお願いしたいのですが」と、お気軽にお申し出ください。
    • 帰敬式をお受けになるには、お手続きの上で所属されるお寺(所属寺院)が必要となります。 まだ所属寺院がお決まりでない方や、光顔寺を所属寺院として帰敬式をお考えの方、あるいはご本山や他の場所での受式をご希望で日程などがお分かりにならない方も、まずは光顔寺にご相談ください。皆様のご事情を丁寧にお伺いし、お手伝いさせていただきます。
    • 僧侶が、帰敬式の意義や当日の流れ、準備していただくもの(基本的には特別なものは必要ございませんが、念のためご案内いたします)などについて、詳しくご説明させていただきます。
  2. 当日の流れ(概略)
    • ご相談の上で決定した日時に、光顔寺(またはご葬儀の式場など、帰敬式が執り行われる場所)へお越しいただきます。
    • 服装は、普段着で構いませんが、仏さまの前に出るということを心に留め、あまり華美でない、落ち着いた服装をお勧めいたします。
    • **僧侶(帰敬式を執り行われるご門主さま、またはお手代(おてがわり)さま、あるいは葬儀時の特例の場合は当寺の僧侶)**が、帰敬式の意義について改めてお話しし、その後、厳粛な雰囲気の中で式が執り行われます。実際に髪を剃ることはございません。
    • 式の最後に、仏弟子としてのお名前である「法名」が授与されます。
    • 所要時間は、おおよそ30分から1時間程度です。
  3. 冥加金(みょうがきん)/懇志(こんし)について – み教えを支えるお心遣い
    • 帰敬式をお受けになる際には、お寺の護持や、阿弥陀さまの教えをこれからも広く伝えていくための活動を支えるためのお心遣いとして、冥加金(みょうがきん)、または懇志(こんし)・お布施(おふせ)というかたちでご懇志をお願いしております。
    • この懇志の金額の目安につきましては、ご本山(京都・西本願寺)で受式される場合には、定められた冥加金がございます。しかし、ご本山以外の場所(例えば別院や、光顔寺のような一般寺院が会場となりお手代(おてがわり)さまをお迎えする場合など)で帰敬式が執り行われる際には、ご本山へ納める冥加金の他に、ご本山からおかみそりのための僧侶(お手代(おてがわり)さまなど)が出向される場合の諸経費などが別途必要となるため、受式される場所や機会によって、総額の懇志は一定ではございません。
    • そのため、ご本山以外で受式される場合は、必ずそれぞれの開催主催者(その寺院など)に、懇志の総額について事前にご確認いただくことが大切です。
    • 光顔寺で帰敬式をお受けになる場合(例えば、光顔寺僧侶が執り行う葬儀時の特例の帰敬式など、あるいは光顔寺が会場となりご本山からお手代(おてがわり)さまをお迎えする場合など)の懇志の目安につきましても、ご相談をいただいた際に、その時々の状況に応じた目安について丁寧にご説明させていただきます。これは決して帰敬式を受けるための対価や料金といったものではなく、また、金額の多寡によって阿弥陀さまのお慈悲が変わることも一切ございません。あくまで、皆様の「阿弥陀さまの教えを依り処としたい」という尊いお気持ちと、その教えを未来へと繋いでいくお寺の活動を支えようという温かいお心遣いの表れとして、有り難く頂戴するものです。
    • 例えば、遠く福岡市のような遠方にお住まいの方が、地元の別院やご縁のあるお寺で帰敬式をお考えの場合も、まずはそのお寺にご相談いただくのが良いでしょう。もし、どちらに相談してよいか分からないといった場合は、光顔寺でも情報提供などのお手伝いができるかもしれませんので、ご遠慮なくお声がけください。

帰敬式を受けた後の心の変化と生活 – 仏弟子として生きる喜びと安心

帰敬式をお受けになり、法名をいただくということは、単に形式的な儀式を終えるということではありません。それは、私たちの人生観や日々の心のありように、静かでありながらも確かな、そして温かい変化をもたらしてくれる、大きな精神的な転機となり得るのです。

  1. 確かな「依り処」との出会い – 人生の羅針盤
    • 阿弥陀さまの教えを人生の依り処とすることで、私たちは、喜びの時も悲しみの時も、順境にあっても逆境にあっても、常に立ち返るべき確かな場所、そして進むべき方向を示してくれる羅針盤を得ることができます。これは、若い世代の方々がこれからの人生を歩む上での確かな価値観を形成する助けとなり、また、現役でご活躍の皆様にとっては、目まぐるしく変化する社会の中で自分を見失わないための、心のアンカー(錨)となるでしょう。
  2. 心の平安と揺るぎない安心感 – 【他力本願と自力聖道】の智慧
    • 私たちは、日々の生活の中で、自分の力だけではどうにもならない多くの困難や苦しみ、そして不安に直面します。そのような時、自分の力(自力)で何とかしようともがけばもがくほど、かえって苦しみが増してしまうことも少なくありません(【他力本願と自力聖道】でいうところの「自力聖道」の限界です)。
    • しかし、帰敬式を通して阿弥陀さまのお慈悲に触れ、「すべてを阿弥陀さまにお任せする」という「他力本願」の生き方をいただくことで、私たちは、肩の荷がすっと軽くなるような、深い心の平安と、何ものにも揺るがない絶対的な安心感に包まれるのです。それは、自分が決して一人ではない、常に阿弥陀さまの温かいまなざしに見守られ、導かれているのだという、温かく力強い感覚です。日々プレッシャーやストレスと向き合っておられる方々にとっても、このお慈悲に抱かれる安心感は、大きな心の支えとなるに違いありません。
  3. お寺との新しいご縁 – 心の故郷として
    • 帰敬式を機に、これまで何となく遠い存在だったかもしれないお寺(光顔寺)が、より身近で親しみのある「心の故郷」のような場所となります。
    • 定期的に厳修される法要や様々な行事にも、より積極的に参加してみようというお気持ちが芽生えるかもしれません。そこで仏法を聴聞し、同じようにお念仏の道を歩む方々とご縁を結ぶことは、人生をより豊かに、そして深くするかけがえのない経験となるでしょう。
    • また、人生における様々な悩みや疑問、あるいは仏事に関するご相談なども、より気軽に僧侶にお話しいただけるようになるはずです。
  4. 日常生活における心のありようの変化 – 感謝と慈しみの生活
    • 日々、ことあるごとに「南無阿弥陀仏」とお念仏を称え、阿弥陀さまへの感謝の気持ちをもって生活するようになるでしょう。
    • 阿弥陀さまの智慧の光に照らされることで、これまで当たり前だと思っていた日常の出来事や、周りの人々とのご縁が、実は奇跡的で有り難いものであることに気づかされます。それによって、ものの見方や価値観が深まり、他者への慈しみや思いやりの心が、自然と育まれていくのです。これは、ご自身の人生の目的意識をより明確にし、社会の中でより良く生きるための積極的な姿勢へと繋がるかもしれません。
    • 特別な義務や厳しい制約が課せられるわけでは決してありません。むしろ、あらゆる束縛から心が解放され、より自由に、そしてより主体的に、感謝と喜びに満ちた人生を歩むことができるようになるのです。

浄土真宗の教えを日々の生活の中で味わい、お念仏と共に生きることは、私たちに本当の心の豊かさと、何ものにも代えがたい深い喜びを与えてくれます。

おわりに – あなたの新たな出発を、光顔寺は心から応援いたします

帰敬式(おかみそり)は、決してゴールではありません。むしろ、阿弥陀さまの仏弟子としての新たな人生の、輝かしいスタートラインです。法名をいただき、お念仏の道を歩み始めるその一歩を、私たち光顔寺の僧侶一同は、心から祝福し、そしてこれからも皆様の歩みに寄り添い、共に仏道を歩ませていただきたいと願っております。

ご自身のために、あるいは大切な故人さまのために、帰敬式をお考えの方は、どうぞどのようなことでも、お気軽に光顔寺までお問い合わせください。皆様からのご相談を心よりお待ちしております。

この後、いよいよ故人さまとこの世でのお別れをし、お浄土へとお見送りするための大切な儀式、「感謝を込めたお見送り ~ご出棺からご葬儀、火葬まで~」について、詳しくご説明してまいります。