【富山 石川 お通夜】浄土真宗のお通夜の流れと参列者の心構え

富山県・石川県で浄土真宗のお通夜に参列される方へ。一般的な流れや、参列する際の服装、香典、心構えなどを分かりやすく解説します。

前の項では、「通夜勤行の意義」として、お通夜が故人さまと共に過ごす最後の夜であり、阿弥陀さまのみ教えに静かに耳を傾ける、私たちにとって大変尊い時間であることをお伝えいたしました。その厳粛な儀式は、深い悲しみの中にある私たちに、確かな心の支えと、生きる上での大切な智慧を与えてくれます。

このページでは、さらに具体的に、富山県や石川県で浄土真宗のお通夜にご縁をいただいた際に、どのような流れで儀式が進められるのか、そして参列する私たちはどのような心構えで臨めばよいのか、服装や香典といった実際的な事柄も含めて、できる限りわかりやすく、そして丁寧にご説明させていただきます。

初めてお通夜に参列される方や、久しぶりに参列される方、あるいは他の宗教や宗派のお式にしか馴染みのない方にとっては、戸惑いやご不安を感じることもあるかもしれません。しかし、どうぞご安心ください。浄土真宗のお通夜は、決して難しい決まりごとや、堅苦しい作法に終始するものではありません。故人さまを敬い、そのご遺徳を偲び、阿弥陀さまのお慈悲に触れる、その温かい「心」こそが最も大切なのです。

浄土真宗のお通夜 当日の一般的な流れ(富山・石川の慣習も考慮して)

お通夜の具体的な流れは、地域や会場、またご遺族の意向によって多少異なることもございますが、ここでは一般的な浄土真宗本願寺派のお通夜の流れをご説明いたします。

  1. 会場到着~受付
    • お通夜の開始時刻が案内されている場合、通常は開始時刻の15分~30分前くらいには会場に到着するように心がけるとよいでしょう。あまり早すぎてもご遺族にご負担をおかけすることがありますし、遅れてしまうのは失礼にあたります。
    • 会場に到着したら、まず受付で「この度は心よりお見舞い申し上げます」や「お知らせいただき、ありがとうございます」など、簡潔にお悔やみの言葉を述べ、香典をお渡しします。香典袋の表書きや名前の書き方については、後ほど詳しくご説明いたします。
    • 多くの場合、受付には芳名帳(または芳名カード)が用意されていますので、ご自身の住所と氏名を丁寧に記入します。これは、後日ご遺族が香典返しなどをお送りする際に必要となるものです。
  2. お勤め(通夜勤行)開始まで
    • 受付を済ませたら、案内に従って控室で待つか、あるいは式場へ入り、指定された席または空いている席に着席します。一般的に、故人さまと血縁の濃い方々が前方の席に座ります。
    • もし、ご遺族(喪主など)が控室にいらっしゃるようでしたら、頃合いを見計らってご挨拶に伺い、改めてお悔やみの言葉を伝えます。ただし、ご遺族は大変お忙しく、またお疲れのことと存じますので、長々とお話しするのは控え、簡潔に弔意を伝えるに留めるのがマナーです。
    • 式場内では、故人さまがお棺にお納めされ、お仏壇(または祭壇)の前にご安置されています。静かに手を合わせ、故人さまを偲び、そのご縁に感謝し、阿弥陀さまのお慈悲に思いを致しましょう。
  3. 通夜勤行(つやごんぎょう) – み教えに耳を澄ますお勤め
    • 定刻になると、お勤めを導かれる僧侶(浄土真宗本願寺派では、お経や偈文などの唱え声をリードする役割を担う方を特に「調声人(ちょうしょうにん)」と呼びます)がお仏壇の前に着座され、お勤めが始まります。これが「通夜勤行」です。
    • まず、僧侶(調声人)によって、浄土真宗で大切にされる聖典(例えば、親鸞聖人のお言葉である「正信偈(しょうしんげ)」と、それに続く「ご和讃(わさん)」、あるいは、お釈迦さまが阿弥陀さまの世界についてお説きになった「仏説阿弥陀経(ぶっせつあみだきょう)」など)が厳かに拝読されます。これは、仏さまの徳を讃え、阿弥陀さまの教えを皆でいただくためのものです。浄土真宗では、故人さまはすでに阿弥陀さまのお力によってお浄土に往き生まれておられるため、僧侶が改めて故人さまを浄土へ導くといった「引導」の儀式は行いません。
    • お勤めの途中、またはお勤めの後に、僧侶の案内に従ってご焼香(ごしょうこう)を行います。ご焼香は、清らかな香を仏前に供え、故人を敬い、阿弥陀さまに感謝の心を捧げる大切な行いです。順番が来たら、心を込めて行いましょう。
    • お勤めの後には、多くの場合、僧侶による法話(ほうわ)があります。これは、阿弥陀さまの教えやいのちの尊さ、悲しみとの向き合い方などについて、私たちに分かりやすくお話しくださる時間です。静かに耳を傾け、故人さまが遺してくださったこのご縁を通して、仏さまの智慧に触れさせていただきましょう。
    • そして、お勤めの最後には、皆で「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」とお念仏をお称えします。これは、阿弥陀さまにすべてをお任せし、そのお救いに感謝する、私たちにとって最も大切な言葉です。
  4. 勤行終了後
    • 通夜勤行が終わると、多くの場合、喪主またはご親族の代表の方から、参列者へのお礼の挨拶があります。
    • その後、地域やご家庭の習慣によっては、「お斎(おとき)」と呼ばれる会食の席が設けられることがあります。これは、故人を偲び、参列者同士が語り合い、互いに慰め合うための時間です(浄土真宗では、飲食の際に神道のような「お清め」という意味合いは含めません)。案内に従って参加しましょう。ただし、近年ではこの会食を省略されたり、軽食程度で済まされたりすることも増えています。
    • また、「夜伽(よとぎ)」といって、特に親しいご親族が、夜通し、あるいは時間を決めて故人さまのおそばに付き添い、お線香の火を絶やさないようにする習慣が残っている地域もございます。

お通夜に参列する際の心構えとマナー

お通夜に参列する際には、故人さまとご遺族に対する敬意と弔意を表すために、いくつかの心得とマナーがございます。特に初めての方や、浄土真宗の葬儀に馴染みのない方はご不安に思われるかもしれませんが、最も大切なのは故人を偲ぶ真摯な気持ちです。

  1. 服装について – 敬意を表す身だしなみ
    • 基本は準喪服: 一般的に、男性はブラックスーツ(ダブルまたはシングル)に白いワイシャツ、黒いネクタイ、黒い靴下、黒い革靴。女性は黒のフォーマルなワンピースやアンサンブル、スーツに黒いストッキング、黒いパンプスが基本です。光沢のある素材や派手な装飾のあるものは避けましょう。
    • 浄土真宗の本来の考え方: 浄土真宗本願寺派では、お通夜は元来、ご親族や親しい方々が集い、故人を偲び、仏法を聴聞する大切なご縁の場であり、必ずしも厳格な喪服でなくても、故人を敬う心があれば、華美でない落ち着いた色合いの平服(普段着)でも構わないとされています。しかし、現代では社会的な慣習もございますので、ご親族以外の方が参列される場合は、基本的には上記の準喪服を着用されるのが無難であり、失礼にあたらないでしょう。
    • 学生の場合: 学生服が正式な礼装となります。
    • アクセサリー・持ち物: 結婚指輪以外のアクセサリーは基本的には外します。真珠の一連のネックレスは許容されることが多いですが、二連以上のものや華美なものは避けましょう。バッグや靴も、黒で光沢のない、シンプルなデザインのものを選びます。
    • 急な弔問の場合: もし、訃報を急に受けて駆けつける場合で、喪服の準備が間に合わない時は、地味な平服(濃紺やダークグレーなど)でも構いません。その際は、ご遺族に「急なことで、このような服装で失礼いたします」と一言添えるとよいでしょう。
    • 地域性: 例えば、富山県の上市町のような自然豊かな地域では、冬場は雪深く冷え込むこともございます。会場の状況にもよりますが、過度な厚着は避けるべきものの、体調を崩さないような配慮も必要です。コートなどは会場に入る前に脱ぐのがマナーです。
  2. 香典について – 弔意を表すお心遣い
    • 表書き: 浄土真宗本願寺派では、故人は亡くなるとすぐに阿弥陀さまのお力によってお浄土へ往き生まれる(即得往生)と考えますので、いわゆる「霊」としてこの世に留まるとは考えません。そのため、一般的に広く使われる「御霊前(ごれいぜん)」という表書きは通常用いません。「御香典(ごこうでん)」「御仏前(ごぶつぜん)」「御香料(ごこうりょう)」などが適切です。不安な場合は、何も書かずに持参し、受付で確認するか、無地の白い封筒を用いるのも一つの方法です。
    • 香典書き方: 薄墨を用いるのは、「悲しみの涙で墨が薄まった」という意味合いや、「急なことで墨をする時間がなかった」という配慮からくる慣習ですが、必ずしも薄墨でなければならないということではありません。濃い墨でも失礼にはあたりません。大切なのは、丁寧に心を込めて書くことです。
    • 金額の目安: 故人さまとの関係性(親族、友人、会社関係など)、ご自身の年齢や社会的立場、そして地域性(例えば、横浜市のような大都市圏と地方とでは相場が異なることもあります)などを考慮して、無理のない範囲でお包みします。ご遺族のご負担を少しでも軽くしたいというお気持ちも大切ですが、高額すぎてもかえってご遺族に気を遣わせてしまうこともあります。迷った場合は、周囲の方や経験者に相談してみるのもよいでしょう。
    • 新札・旧札: 一般的には、新札は「不幸を予期して準備していた」と受け取られることを避けるため、多少折り目のついた旧札を用いるのが良いとされますが、これも絶対的なマナーではありません。新札しかない場合は、一度折り目をつけてから入れるとよいでしょう。
    • 渡し方: 香典袋は袱紗(ふくさ)に包んで持参し、受付で袱紗から取り出して、相手から見て正面になるよう向きを変えてお渡しするのが丁寧な作法です。
  3. お念珠(おねんじゅ)(お数珠)について – 合掌の際の伴
    • 仏式のご葬儀に参列する際は、ご自身のお念珠(おねんじゅ)(他宗派ではお数珠(おじゅず)とも言います)を持参するのが望ましいです。お念珠は、仏さまへの敬意を表し、お念仏をお称えする際に用いる大切な法具(ほうぐ)です。貸し借りはしないのが基本とされています。
    • 持ち方は宗派によって多少異なりますが、浄土真宗本願寺派では、合掌する際には両方の親指と人差し指の間にかけ、房が下に垂れるように持ちます。
    • 浄土真宗の門徒の方は、肩衣(かたぎぬ)に由来する「門徒式章(もんとしきしょう)」という、首からかけるものを着用するのが基本です。これは僧侶が身に着ける袈裟とは異なります。なお、真宗大谷派では同様のものを「略肩衣(りゃくかたぎぬ)」と呼称されるなど、宗派によって違いがございます。
  4. お勤め中の態度 – 静粛な心でみ教えに耳を傾ける
    • 通夜勤行中は、私語を慎み、静粛な態度で臨みましょう。
    • 携帯電話やスマートフォンは、マナーモードに設定するか、電源をお切りください。
    • 僧侶のお勤めや、その後の法話には、できる限り真摯な気持ちで耳を傾けましょう。たとえ内容が難しく感じられても、その場の雰囲気に心を合わせることが大切です。
    • お念仏は、強制ではありませんが、もしよろしければ、小さな声でも結構ですので、周りの方々と声を合わせてお称えしてみてください。
  5. 故人・ご遺族への言葉 – 心からのいたわりと敬意を
    • お悔やみの言葉として一般的に使われる「ご愁傷様です」という言葉も間違いではありませんが、浄土真宗では、死は悲しみだけではなく、阿弥陀さまの救いによってお浄土へ往き生まれる尊い出来事と捉えます。そのため、故人のご逝去をただ「不幸なこと」とだけ捉えるのではなく、故人を偲び、ご遺族の深い悲しみに寄り添いながらも、阿弥陀さまのお導きに感謝する気持ちを込めた言葉かけができると、より心の通ったものになるかもしれません。
    • 例えば、「この度は誠にご愁傷様でございます。〇〇様(故人)には、生前大変お世話になりました。今はただ、阿弥陀さまのお慈悲のなかで安らかにおられることを念じております」といった言葉や、あるいはごく親しい間柄であれば、故人との思い出を語り合いながら、そのご恩に感謝する言葉を伝えるのもよいでしょう。
  6. 最も大切な心構え – 故人を敬い、阿弥陀さまの教えに触れる 様々な作法やマナーがありますが、何よりも大切なのは、故人さまを心から敬い、そのご恩に感謝する気持ちです。そして、このお通夜というご縁を通して、阿弥陀さまの広大なお慈悲の教えに触れさせていただき、私たち自身のいのちのあり方を見つめ直す機会として、静かに手を合わせ、心を澄ませることです。 浄土真宗には【悪人正機(あくにんしょうき)】という、親鸞聖人の教えの中心ともいえる大切な言葉がございます。ここでいう「悪人」とは、一般的に使われる「悪いことをした人」や「道徳的に非難されるべき人」という意味ではございません。そうではなく、私たち人間は誰しも、自分中心の心(煩悩)から完全に自由になることはできず、知らず知らずのうちに過ちを犯してしまう弱い存在である、という深い人間認識に基づいています。親鸞聖人は、そのような「自らの力ではどうすることもできない罪深さや弱さを抱えた存在(=悪人)」であると深く自覚した者こそが、阿弥陀さまの「どのような者も見捨てない」というお慈悲の救いの、まさに目当て(中心)なのだと明らかにされました。特別な善人や修行を積んだ人だけが救われるのではなく、このような私たち凡夫こそが、阿弥陀さまの側から差し伸べられる救いの光にそのまま照らされ、摂め取られるのです。お通夜は、その広大無辺なるお慈悲に感謝し、絶対的な安心**のなかで故人を偲び、仏法を聴聞する尊い時間なのです。

地域ごとの慣習と浄土真宗の考え方の調和

富山県や石川県には、地域やご家庭によって、お通夜やご葬儀に関する独自の慣習が今も大切に受け継がれている場合がございます。例えば、特定の食べ物をお供えしたり、参列者に振る舞ったりする風習や、「夜伽」のあり方にも地域ごとの特色が見られるかもしれません。法事の際にも、地域によって大切にされる点が異なることもあります。

私たち浄土真宗本願寺派は、そうした地域の文化や伝統を尊重し、それらを頭ごなしに否定するようなことはいたしません。大切なのは、その慣習がどのような想いから生まれたのかを理解し、浄土真宗の教えの本質を見失うことなく、それらとどのように調和させていくかということです。もし、地域の慣習と浄土真宗の教えとの間で、どのように考えればよいかお迷いになるようなことがございましたら、どうぞご遠慮なく光顔寺の僧侶にお尋ねください。

お布施・懇志について(参列者の香典との関連で)

お通夜に参列される際に皆様がお持ちになる香典は、主に故人さまへの弔意と、ご遺族の金銭的なご負担を少しでも軽減したいという相互扶助のお気持ちの表れです。

一方で、ご遺族からお寺へお渡しいただくお布施や懇志は、故人さまのためにお勤めを厳修し、阿弥陀さまの教えをお伝えする僧侶への感謝の気持ち、そして何よりも、その教えを護り伝え、お寺という大切な場所を維持していくための「み教えを支えるお心遣い」です。この二つは意味合いが異なりますが、皆様から寄せられた香典の一部が、ご遺族を通して、結果としてお寺の護持や仏法を広める活動を支える一助となることもございます。皆様の温かいお気持ちが、様々な形でこの尊い精神文化を未来へと繋いでいく力となるのです。

故人を偲ぶ心を大切に – どなたでもご利用いただける光顔寺の納骨堂

大切な方とのお別れの後、故人さまを偲ぶ安らかな場所や、今後のご供養についてお考えになる方も多いことでしょう。

光顔寺では、宗旨・宗派を問わず、故人を大切に想うすべての方にご利用いただける、多様な形態の納骨堂をご用意しております。私どもは浄土真宗本願寺派の寺院ではございますが、納骨堂のご利用に際しては、これまでの信仰のあり方を問いません。故人さまを敬い、そのご縁に感謝するお気持ちを何よりも大切に考えております。

光顔寺の納骨堂が、皆様にとって心安らぐ場所となれば幸いです。納骨堂の内覧会は、ご予約優先制にて開催日時を調整しております。ご見学や詳しいご説明、ご相談をご希望の方は、どうぞお電話にてお問い合わせいただくか、当ホームページの専用予約フォームよりお気軽にお申し込みください。

おわりに – 心静かに、故人さまと共に

このページでは、浄土真宗のお通夜の一般的な流れと、参列する際の心構えやマナーについてご説明いたしました。様々な情報がありましたが、最も大切なことは、故人さまへの感謝と敬いの心を忘れず、阿弥陀さまのお慈悲に包まれて、心静かにこの最後の夜を故人さま共に過ごさせていただく、というお気持ちです。

この情報が、皆様のご不安を少しでも和らげ、お通夜の時間をより深く、そして心穏やかにお過ごしいただくための一助となれば幸いです。

この後、お葬儀における大切な儀式の一つである「おかみそり(帰敬式)」について、詳しくご説明いたします。