【還骨勤行とは】ご自宅へお骨をお迎えし、感謝とみ教えの集いを

火葬場からご自宅へご遺骨をお迎えする際の還骨勤行と、それに続けて行われることの多い仮初七日法要について、その意味と流れを解説します。

火葬場から故人のご遺骨がご自宅(またはお寺、近年では葬祭ホールを仮の自宅とすることも)へお戻りになった際、まず最初に行われるのが「還骨勤行」です。「還る」という字の通り、故人が形を変えられて私たちの元へ「おかえりなさい」と帰ってきてくださったことを皆で受け止め、温かくお迎えする大切なお勤めです。お骨壺やお骨箱には、お寺さまによって「南無阿弥陀仏」という阿弥陀さまのお名前(名号)が記されていることがあります。これは故人が常に阿弥陀さまと共におられ、そのお慈悲に抱かれていることを表し、私たちもこのお名号を通して阿弥陀さまのおはたらきに触れさせていただきます。

そして多くの場合、この還骨勤行に続き「仮初七日法要」をお勤めします。これは本来、故人がこの世のいのちを終えられてから七日目に行うべき「初七日法要」を、遠方からお集まりのご親族などのご都合を考え、少し早めにこのタイミングで執り行うものです。「仮」とつきますが法要そのものの尊さに変わりはありません。仏教では、いのち終えた後のあり方について様々な教え(例えば、中有(ちゅうう)の期間を経て輪廻(りんね)するなど)が説かれますが、浄土真宗では、阿弥陀さまを信じる者はただちにお浄土へ往き生まれると確信します。

この法要もまた、故人との尊いご縁をいただき、阿弥陀さまの温かく深いみ教えに触れさせていただき、私たちがお念仏の喜びをあらためて心に深く味わうための、仏さまとのご縁の時間です。故人が仏さまの世界で安らかでいらっしゃることを確信しつつ、私たち自身がこの悲しみの中で心の平安を取り戻し、明日への確かな希望を見出すための大切なひとときとなります。これらの儀式を一つひとつ丁寧に行うことは、私たちの心を整え、故人への感謝を新たにする道であり、自らの「いのちの本当のゆくえ(後生の一大事)」を考える、かけがえのない機縁となるのです。