【本山永代経志とは】感謝の心を、み教えの源流へ

ご本山(京都・西本願寺)を支える「本山永代経志」。その尊いお心遣いが、どのように浄土真宗のみ教えを未来へ繋ぐ力となるのか、院号授与との関わりも含めて、懇志(お布施)の考え方と共に解説します。

阿弥陀さまの教えに出遇えた深い感謝が、「このみ教えの源流であるご本山を、自らの力の限りお支えしたい」という、具体的なお心遣いとなってあらわれる。それが「本山永代経志(ほんざんえいたいきょうし)」です。 これは、ご本山(京都・西本願寺)が、末永くその法灯を護り伝えていくための、大変尊い報恩感謝の行いです。

【ご本山からのお扱いと、院号授与について】

ご本山では、この篤いお心遣いに対し、深謝の意を表し、そのご懇志の額に応じて様々なお扱いを設け、ご厚志を顕彰しております。そのお扱いのうち、最高位の敬意を表すものが「院号」の授与です。ご懇志が20万円以上の場合に、この院号をご申請いただくことができます。

【お手次寺の役割と、お心遣いの慣例】

「本山永代経志」は、すべてご本山の護持のために納められ、窓口となったお手次のお寺(光顔寺など)の懇志とはなりません。 そのため、ご本山への感謝とは別に、日々の拠り所となっているお手次のお寺にも、そのご縁に感謝し、お寺の護持を支えるお気持ちを表すのが、長年培われてきた温かい慣例(マナー)です。一般的に、ご本山へ納められた懇志の1倍から3倍の額を目安として、別途、永代経志などをお手次寺にお納めになる方が多くいらっしゃいます。

お心遣いの本質について:人生の円熟期を迎えられた皆様へ

もちろん、院号は多額のご懇志を伴うものであり、誰もが志せるものではないかもしれません。 長年にわたり社会やご家庭を支え、今はご自身の年金を糧に、一日一日を大切に暮らしておられる皆様へ。まず心からの敬意を表します。

どうぞ、ご安心ください。そして、阿弥陀さまのお慈悲も、私たち僧侶の敬意も、お布施の額によって少しでも揺らぐことは絶対にないことを、光顔寺の方針として明確にお伝えいたします。

皆様が、限られた生活費の中から、悩み、考え、そして「それでも、み教えの灯を未来へ繋ぎたい」と、そっとお包みくださるお心遣い。私たちは、それを、どのような大きなお布施にも勝る、この上なく尊いものとして、有り難く頂戴しております。

それは、皆様の歩んでこられた人生そのものから滲み出る、まことの布施です。 そして、それは、深刻な少子化という課題に直面し、私たちよりも少ない人数で社会を支えていかねばならない、未来の子どもや孫、そして地域の若い世代の、心の拠り所(お寺)を護るための、負担を先取りする、温かい「贈り物」でもあるのです。

今を生きる私たちが少しずつお支えすることで、未来の世代が過大な負担を背負うことなく、私たちと同じように、いつでも帰ってこられる心の拠り所を持ち続けられるようにする。 それが、本山永代経志や、お手次寺を護るお心遣いに込められた、未来への深い慈しみの心です。

だからこそ、私たちは皆様のその尊いお気持ちに応えるべく、法務のレベルを維持し、高めるための研鑽を怠ることはできません。そして、皆様にご不安をおかけしないよう、お布施の基本となる額を事前にお伝えし、さらに「もし、ご事情がございましたら、どうか金額に一切とらわれず、ありのままをお聞かせください」と、必ずお伝えしているのです。

光顔寺は、どのような経済状況の方であっても、安心して仏法に触れていただける、開かれたお寺であり続けたいと心から願っております。