み教えへの最高位の敬意「院号」 ~ご本山とのご縁と報恩感謝のあかし~
法名の上に付される最高位の敬意「院号」。それは、阿弥陀さまの教えに出遇えた深い喜びと感謝が、ご本山を支え、仏法を未来へ繋ぐ「本山永代経志」という姿となってあらわれたことを、ご本山が讃える尊い名のりです。
これまでの章では、故人さまのご命日をご縁として営まれる、様々な年忌法要についてお伝えしてまいりました。その仏法聴聞を重ねる中で、私たちの心には、尽きることのない感謝の念(報恩感謝)が湧き起こってくることがあります。
「この計り知れないほど尊い教えに出遇えた。この喜びと安心を、自分だけのものにしておくことはできない」
「このみ教えを未来へ、そして多くの人々へ伝えるお手伝いを、自分にできる形でさせていただきたい」
この章でご紹介する「院号(いんごう)」とは、そのような、いただいたご恩への感謝の心が、自分一人の救いを超えて、仏法そのものを未来へ繋ぐための、具体的なお心遣いとなってあふれ出た、その尊いお姿を顕彰(けんしょう)するものです。
歴史を遡ると、「院」とは本来、天皇や上皇のお住まいを指す言葉でした。そして、仏教を篤く信仰された天皇が、仏教興隆に大きく貢献した寺院に対して、その功績を讃えて「〇〇院」という称号を贈られたのが、院号の歴史的な始まりの一つです。
この伝統を受け継ぎ、浄土真宗本願寺派における院号は、ご本山(京都・西本願寺)が、浄土真宗本願寺派全体の護持発展に多大な貢献をされた方のお徳を讃え、その深い報恩感謝のお気持ちを顕彰するために授与する、ご門徒にとって最高位の敬意のあらわれ(お扱い)なのです。 私たちのようなお手次のお寺(末寺)は、そのご縁を取り次ぐ「窓口」としての役割を担わせていただきます。
この章では、この院号が持つ本当の意味と、その背景にある報恩感謝の心、そして具体的な手続きについて、詳しく解説してまいります。
それでは、次の「【院号とは】ご本山への帰依と報恩感謝のあかし」のページで、院号のより具体的な内容について、共に学んでまいりましょう。


