親鸞聖人のご恩を家庭で ~家庭報恩講~
浄土真宗で最も大切な法要「報恩講」。宗祖親鸞聖人のご恩に感謝し、お念仏の教えを聴聞するこの尊い集いを、ご家庭で勤める「家庭報恩講」の意義と心のあり方についてお伝えします。
浄土真宗の教えに生きる私たちにとって、一年で最も大切にされている法要、それが「報恩講(ほうおんこう)」です。 報恩講とは、私たちの宗祖(しゅうそ)である親鸞聖人(しんらんしょうにん)のご祥月命日(しょうつきめいにち:1月16日)をご縁として、そのご苦労を偲び、私たちに真実の教えを明らかにしてくださったご恩に、心からの感謝を申し上げる法要です。本山である京都の西本願寺をはじめ、全国の浄土真宗本願寺派の寺院では、この時期に一年で最大の法要が厳かに、そして盛大に執り行われ、多くのご門徒がお参りされます。
では、なぜ私たちはこれほどまでに、親鸞聖人のご恩に感謝するのでしょうか。 それは、親鸞聖人がご自身の人生をかけて、私たちと同じ、煩悩にまみれ、自分の力ではどうすることもできない弱い存在(凡夫)が、阿弥陀さまの「必ず救う」というお誓い(本願)によって、お念仏一つで、誰一人もれることなくお浄土へ往き生まれ、仏となることができる、という救いの道を示してくださったからです。
その親鸞聖人のご恩に感謝する報恩講を、お寺だけでなく、ご家庭のお仏壇の前で、ご家族やご親族と共にお勤めするのが「家庭報恩講(かていほうおんこう)」です。 お寺での大きな報恩講が、いわば教えの「公の場」であるとすれば、家庭報恩講は、その教えを私たちの暮らしの中へと迎え入れ、より身近に、そして親密に味わうための、大変尊い「私のための、私たちのための」報恩講と言えるでしょう。
ご自宅という慣れ親しんだ場所で、親しい方々と共に、あるいは静かにお一人で、親鸞聖人を偲び、僧侶の法話に耳を傾ける。その時間は、お寺での法要とはまた違った、心安らぐ、そして深い学びのひとときとなります。それは、日々の生活の中に、親鸞聖人が喜ばれるお念仏の輪を広げ、家族の絆を深め、そして私たち一人ひとりが、阿弥陀さまの温かい光の中に生かされていることを再確認する、年に一度の、かけがえのない「喜びのつどい」なのです。
それでは、次の「【家庭報恩講とは】ご家庭で親鸞聖人のご恩に感謝し、浄土往生の教えを味わう」のページで、家庭報恩講のより具体的な内容と、そこに込められた心について、共に学んでまいりましょう。

