【収骨勤行の心】小さなお骨に宿る故人の面影と、自らのいのちのゆくえ

お骨上げの際に行う収骨勤行。小さなお骨に故人さまの面影を偲び、深い感謝の念を抱くと共に、私たち自身の「いのちの本当のゆくえ」について静かに思うことの大切さをお伝えします。

火葬を終え、故人のご遺骨を大切にお骨壺に納めさせていただく際に行われるのが「収骨勤行」です。

小さなお骨を前に、言葉にならないほどの深い悲しみや人生の儚さ(無常)を痛切に感じられることでしょう。しかし同時に、故人がこの世に確かに存在し、その方ならではの温もりや優しい笑顔、心に残る言葉、私たち一人ひとりに向けてくださったかけがえのない思いやりや愛情が、鮮やかに胸に込み上げてくるかもしれません。仏教では、形あるものはすべて滅する(諸法無我)と説かれますが、故人が遺してくださった思い出やご縁、そしてその教えは、私たちの心の中で生き続けます。

このお勤めは、そうした複雑な思いを胸に、故人が遺してくださった数えきれないご恩や愛情を改めて心に深く刻み、心からの「ありがとう」を伝える大切な時間です。そしてこの経験を通して、自分自身の「いのちの終わりにどこへ往き、どうすれば本当の安らぎを得られるのか」という最も大切な問題(後生の一大事)に真摯に向き合い、故人はすでに阿弥陀仏の光明に摂め取られ仏として私たちを導きお育てくださる尊いはたらきを始めておられることを信じ、そのご恩に感謝し、私たちもまた阿弥陀さまのお救いを求める心を新たにするのです。この勤行を鄭重に行うことは、故人への敬意を示すと共に、私たちの「いのちの本当のゆくえ」に向き合う、かけがえのない大切な一歩となります。