年に一度の追慕と感謝 ~祥月法要~
一周忌などの年忌法要の年以外に、年に一度巡ってくるご命日にお勤めする「祥月法要」。故人さまへの感謝を新たにすると共に、毎年この日に仏法に立ち返ることの尊い意義をお伝えします。
年忌法要という大きな節目と節目の間も、故人さまを偲ぶ私たちの思いが途切れることはありません。その思いを、年に一度、かたちとして大切にお勤めするのが「祥月法要(しょうつきほうよう)」です。
祥月法要とは、一周忌や三回忌といった大きな年忌の年に当たらない、毎年のご命日(祥月命日)に執り行われる法要です。月命日にお勤めする「月参り」が、日々の暮らしに寄り添う穏やかなリズムであるとすれば、祥月法要は、年に一度、より心を込めて、深く故人と、そして阿弥陀さまのみ教えと向き合う、特別な一日と言えるでしょう。
この法要もまた、故人のための追善供養ではありません。故人はすでにお浄土で仏さまとして、安らかでいらっしゃいます。
祥月法要は、遺された私たちのためにあります。それは、故人が亡くなられたあの日という、私たちの人生にとって忘れ得ぬ一日を、単なる悲しい過去の日として終わらせるのではなく、仏法に出遇い、生きる智慧をいただくための、感謝と学びに満ちた、意義深い記念日へと転換させていくための、尊い営みです。
年に一度、この日を迎えるたびに、私たちは故人との思い出を語り、そのご恩に感謝します。そして同時に、この一年、自分はどのように生きてきただろうかと、静かに振り返るご縁をいただくのです。
その繰り返しの中で、故人を亡くした悲しみは、少しずつ、私たちを支え、導いてくれる温かい力へと変わっていきます。祥月法要は、その大切な心のプロセスを、お念仏の教えと共に、毎年確かめさせてくれる、かけがえのない道しるべなのです。
それでは、次の「【祥月法要とは】年に一度の命日、故人のご恩とみ教えを深くかみしめる」のページで、その具体的な内容と心のあり方について、詳しく見てまいりましょう。

